新支援の運用はまだまだ

中国帰国者に対して新しい支援策が2008年1月から4月にかけて順次施行された。当会ではこの支援策申請について援助活動をしている。だが新支援についての運用はまだまだだ。
「【戦後の忘れ物―中国人強制連行・残留邦人】下・清里町から」というタイトルで、北海道新聞(2008/10/31)に以下のような記事が掲載されていた。
「中国残留孤児として帰国して33年。網走管内清里町に住む夫婦がこの夏、思わぬ不利益を受けた。行政機関のたらい回しで、老後の生活を支える支援給付金の受給が遅れた。受け取れない事態もあり得た」と。記事によれば、この「中国残留孤児」同士夫婦が、新支援策を知ったのは7月。親類から聞いたのだ。役所からの連絡を待ったが、何もなし。町役場と福祉事務所に相談してみたが、担当者が「「本人が何を言っているか分からない」として、手続きが停止されたという。8月に道庁に行き、一旦は申請できたが、結局取り下げてしまったという。生活保護と新支援の支援給付金は別なのだが、言葉がわからないため新支援制度が理解できなかったという。その後、中国残留「孤児」集団訴訟弁護団などの支援で再申請し、受給が決定、制度発足から4ヶ月遅れの受給開始という。
実は新支援策の、年金満額受給も支援給付金受給も申請主義である。支援給付金についてはそれまで生活保護の世帯は自動的に切り替えられたが、他の世帯はそれも申請しなければならない。同紙は、この問題について、<「申請主義」が原因>とある。
申請主義を採るというなら制度の周知徹底が前提だろう。だが、それがなされているとは思えない。それに日本語で伝えてもわからない。
新支援策には、支援・相談員制度もできたが、支援・相談員すらいない自治体が少なくない。
当会はこのような事態を解消するために、新支援策全体についてその趣旨が充実するよう東京都下の自治体に働きかけてきたが、これからもこの活動をし続けるつもりだ。