映画

香港の著名な女性映画監督許鞍華(アン・ホイ)さんの1990年の作品『客途秋恨』をみた。アン・ホイさんのお母さんは、1945年避難中に中国人のお父さんと知り合い、結婚して中国に残留した「中国残留婦人」だ。そのお母さんと娘の関係を描いた自伝的な映画であり、半分位が日本でのロケである。
1970年代娘はイギリスに留学。1973年妹の結婚のために帰国。いつも泣いてばかりいて、香港に移ってからは贅沢な暮らしをするお母さんのことを娘は嫌っており、溝が深い。そんなお母さんが日本へ一時帰国するということで娘は同行する。言葉もわからず文化も異なる異国で、娘は次第に母の孤独を理解するようになる。お母さんは、来日時、望郷の念はものすごい。だが、来日してみると日本では自分の居場所がないこともわかってくる。大多数の「中国残留邦人」はこの映画のお母さんとは比較にならないほど貧しい生活であったが、この2点は共通している。