『中国残留日本人孤児に関する調査と研究』(佟岩、浅野慎一監訳)が出版された

2005年中国で刊行された「中国残留孤児」に関する研究書『日本遺孤調査研究』(著者は遼寧省社会科学院歴史研究所の関亜新、張志坤の両研究員)を、佟岩龍谷大非常勤講師と浅野慎一神戸大大学院教授とが監訳した『中国残留日本人孤児に関する調査と研究』(上下巻)が出版された(不二出版)。浅野教授は、中国残留「孤児」神戸裁判で大きな力になった方だし、昨年から始まった新支援策のウオッチにも力を注いでおられる方だ。
原書は、一次資料として公安機関などが管理している人事資料「档案(とうあん)」を使用。約1万部を分析し、これをもとに約3800人の「孤児」と養父母から聞き取ったもの。「孤児」たちが肉親と別れ養父母に育てられた中国での数十年の記録や、「日本人」として身元確認され帰国を果たすまでの経緯などが克明に記されているという。上下巻合計で962ページの大書。3万円+税と高いが、浅野教授は、「今、残留孤児に必要な支援を考えるには、人間として孤児を丸ごと理解することが必要だ。本書には、中国での生活も含めた孤児の営みが描かれており、支援のあり方を考えるうえでも役立つ」と話す(毎日新聞神戸版2009年1月5日)。是非読んでみようと思う。